やきものの取り扱いについて
やきものは焼成中に様々に変化し、特徴的な表情が出ます。
表情の種類によってはご使用にあたってお手入れが必要なものもあります。
表情の特徴をご理解いただき、長く大切に使っていただければと思います。
色素沈着
色素沈着とは、長くやきものを使うことで茶渋や食品の色素が付着し、通常の食器洗いでは汚れが落ちにくくなる現象です。
色素沈着を取り除きたい場合は、薄めた漂白剤に漬け込み、十分に洗い流してください。
酸素系や酵素系の漂白剤を使うのが安全です。
塩素系の漂白剤の使用は可能ですが、金彩や銀彩が施された食器には避けてください。
もしくは重曹を熱湯に溶かし、その中に色素沈着したやきものを1時間ほど浸け置き、その後水で洗い流すと汚れが薄くなります。
水洗い後は十分に乾かしてください。
使用を重ね手入れを行うことで、次第にこなれていくやきものの風合いをお楽しみください。
鉄粉
陶磁器の鉄粉とは、原料である陶土や釉薬に含まれる鉄分が焼かれることで酸化し、器の表面に黒点として現れる現象です。
白磁や磁器、釉薬の原料の中にも微量ですが鉄分が含まれています。
そのため、あまりにも大きく、目立つもの以外は良品として判断しております。
鉄粉の現れ方、表情、数や大きさもその器の個性の一部としてお楽しみください。
メタルマーク
メタルマークとは、やきものの表面に付着する金属跡のことです。
スプーンやナイフ、食洗機のかごなど、金属製品がやきものの表面に擦れて付着する黒っぽい筋状の汚れを指します。
特にビスクやマットな釉薬の表面にはわずかな凹凸があり、メタルマークが付きやすい特徴があります。
汚れてしまった場合は、クエン酸溶液をキッチンペーパーに浸して汚れ部分に被せ、その後メラミンスポンジで強めにこすってください。
または、ソフトタイプのクレンザーを布につけて優しく拭いてください。
ピンホール
ピンホールとは、陶磁器の表面に見られる小さな穴のことを指します。
これらは、焼成過程でのガスの発生や、原料の不純物によって生じる表情です。
土の種類や釉薬の性質によっては、ピンホールが多く発生するものもございます。
1mm程度のものは当店の基準で良品としています。
釉ムラ
釉ムラとは、やきものの表面に色の濃淡が現れていることを指します。
釉薬は、ガラス成分や金属成分を含んだ粒子を、水の中で攪拌した液体です。
また粒子は時間と共に沈殿するため、釉薬の濃度にも変化がおこります。
さらに、一つ一つ手作業で施釉を行いますので、釉薬の厚みにばらつきが発生します。
釉薬の厚さによっては、釉だまりと呼ばれる凸凹ができたり、焦げたような見た目になることもあります。
釉薬の流れた跡や釉だまり、焦げた部分は、日本では昔から器の「景色」として鑑賞されており、当店ではこれらも良品として扱っています。
同じ形状の器でも、焼き上がりが一つ一つ異なるのが、やきものの魅力です。
貫入
やきものを焼成し、冷める過程で土と釉薬の縮み方の違いで生まれる隙間を貫入といいます。
器が割れているわけではありません。
貫入の中に色素が浸透し、使用を重ねていくことでアンティークな風合いが生まれます。
※うつわの表面を指や爪でなぞった時に引っ掛かるものは貫入ではなくひび割れです。
急激な温度変化や衝撃が加わるとヒビが入ることがあります。
目止め
耐熱陶器に使用される土は耐熱性を高めるために多孔質ですので、吸水性があります。
ご使用の前には目止めを行い、吸水性を抑えることで汚れが付きにくくなり、長くご使用いただくことができます。
目止めについて、詳しくはコチラ