蛍手は、やきものを美しく魅せる表現技法のひとつです。
蛍手というと、水玉模様の透かしが入っているものが多く見られます。
光にかざすと星が透けて見える「星座マグ(ホワイト、イエロー)」に使われている技法です。
現在見つかっている一番古い蛍手のやきものは、ペルシャで見つかりました。十二世紀のものだと言われています。
シルクロードを運ばれて中国へ渡り、技術が洗練されました。
中国からヨーロッパへ輸出されたときに器にちりばめられた透かしを見て「米粒」の様だと言われたそうで、蛍手を英訳すると「grain of rice(米粒)」と出てきます。
日本では透き通った光の様子を蛍になぞらえ「蛍手(ホタルデ)」と呼んでいます。
蛍手の製造工程
Process1.素地に穴をあける
土を成形した状態を素地[キジ]と呼んでいます。
成形したばかりの素地はまだ湿っていて脆く、繊細です。
素地が半分乾いて形を保てるようになってから24個もの穴を慎重にあけていきます。
穴をあける道具は職人さんによって様々で、使いやすい道具を独自に研究し、自作している職人さんもいます。
Process2.素焼きをする
やきものは完成までに2~3回ほど焼成します。
一度目の焼成は素焼き[スヤキ]と呼びます。
素焼き後の素地は成形したばかりの素地よりも硬く焼き締まっており、吸水性があります。
Process3.穴に釉薬を埋める
素焼きされた素地の穴に、水分量を調整した釉薬[ユウヤク]を吸着させ、24個の穴を一つ一つ丁寧に埋めていきます。
素焼きされた素地の吸水性を活かし、まずは外側から二度、筆などを使い、手作業で埋めていきます。
さらに、隙間が残らないように、内側からも一度埋めます。
Process4.穴に埋めた釉薬を整える
この作業は、星座マグの美しい蛍手を表現するためにとても重要な作業です。
外側は各職人さんが使いやすいよう独自に改良した筆を使い、穴の周りの余分な釉薬を丁寧に削り取り、カップの内側は濡らしたスポンジで拭いて仕上げます。
余分な釉薬を削り、表面を整えることで、穴埋めした部分に凹凸ができてしまうことを防ぎ、蛍手は美しく仕上がります。
拭きすぎないよう、見落としが無いよう、職人さんたちの高い技術が必要となる難しい工程です。
Process5.内側に釉薬をかける
釉薬[ユウヤク]とは、やきものの外側を覆うガラス質の部分です。
ツヤのもの、マットなもの、透明なもの、色が付いたものなど種類は様々です。
星座マグでは内側に透明釉を使用します。
穴を埋めた釉薬も、透明釉です。
透明釉はその名の通り焼成後にクリアな仕上がりになる釉薬です。
Process6.本焼成をする
二度目の焼成は本焼き、本焼成などと呼ばれます。
星座マグは慎重に窯に詰められ、伏せた状態で焼成されます。
やきものは本焼成中、熱により水飴の様に柔らかくなり縮んでいきます。
その際に歪みが起きやすいため、できるだけ歪まないように様々な工夫がされています。
星座マグは縮むときの抵抗を軽減し、歪みを最小限に抑えるため、トチと呼ばれる窯道具(星座マグの場合、円形のプレート状のもの)の上に伏せて焼成されます。
Process7.窯出し、完成へ
本焼成が始まって、星座マグが窯の中から出てくるまでは約二日かかります。
高温の窯が冷めるまでには時間がかかりますし、急に冷ましてしまうと温度差によって割れてしまうことがあるからです。
蛍手は見た目のシンプルさとは裏腹に、職人さんの丁寧な手作業によって、たくさんの工程を経て作られています。
そんな繊細な技術が詰まった「星座マグ」。
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